ジャーナル
【定期配信】和食日和おさけとの日本酒note vol.3
唎酒師による季節の日本酒紹介とテイスティングレポート
〈 鍋島 Harvest Moon 〉
鍋島。
九州の日本酒といえば、まず一番に思い浮かぶのは鍋島、という関東の方、多いのではないでしょうか。
1998年に生まれた若い銘柄ながら、
2011年にはインターナショナルワインチャレンジで最高賞を受賞。
近隣の酒蔵とともに「鹿島酒蔵ツーリズム」を企画するなど、
世界に目を向けながら、地元を愛し、美酒を醸す。
そんな富久千代酒造3代目蔵元杜氏、飯盛直喜さんのは、
こんなことを新聞記者に仰っています。
「麹は生き物。毎回同じようにならなくても、
いつも目指すのは『断トツの酒』です」
香りの立ち方、旨味の乗せ方、ジューシーな酸味。
鍋島にしか出せない味わいは、そんな思いから生まれているんですね。
四季を彩る鍋島Moonシリーズの、秋限定酒、ひやおろし。
ひやおろしでありながら、開けた瞬間は、わずかにしゅわっと。
ガス感が少し残っています。
香りは優しく吟醸香。
赤いリンゴのようでもあり、けれど穀物を思わせる香りでもあり…
かぼちゃを使ったスイーツのような香りを連想してしまったのは、
エチケットを見てハロウィンを想像してしまったからでしょうか?
Moonシリーズ特有の、
非常にやわらかい酸味はこちらにもしっかり存在。
優しい甘みの中心に、とてもここち良い旨味があり、
柔らかい酸が舌を洗い流すようにするすると消えていく。
とても飲みやすいのに、ついつい飲みすぎる、というよりは、
ゆっくりしみじみと楽しみたくなるような味わい。
気が置けない間柄の人たちと、
ゆっくり会話を楽しむようなときのお伴にいかがでしょうか。